カフカの『アメリカ』を読了しました。
作品の解説やら感想はとりあえず置いておいて、
とにかく、作品の終わり方がとても良かった。
それが、作者が意図した終わらせ方なのか、
単に未完であったのかは検討の余地があるとは思いますが。
(というかその辺は私が言及するまでもなく、
分厚いカフカ研究によって詳にされいるのかもしれませんが)
章立てを紹介しておきます。
第1章 火夫
第2章 伯父
第3章 ニューヨーク近在の田舎屋敷
第4章 ラムシーズへの道
第5章 オクシデンタル・ホテル
第6章 ロビンソン事件
第7章 隠れ場所
第8章 オクラホマの野外劇場
主人公カール・ロスマンの作中での遍歴から、
新しい土地でどういう不条理が待ち受けているかは想像に難くない・・・
いや、新しい土地でようやく今までの苦労は報われるのか・・・
想像を大いに膨らませ、期待と不安を抱きつつページをめくると、
突然、物語は終わっているのです。
自分ではどうしようもない、外的要因によって目まぐるしく変転する主人公の境遇、
読み手からすると、
あるときは自分に重ねて共感し、またあるときには傍観者として同情し・・・
激しく感情を揺さぶられるというよりは、
世の中の不条理のなかで抵抗できずに生きて行かざるを得ない人間の、
一人の人間の無力さを、
痛感させられる一冊でした。